アジャイルプロセスはソフト開発ためのものだけではない

アジャイルプロセスはソフトウェア開発の分野から出てきたものであるが、他の分野でも適用可能だ。特にお互いの状況を伝えあいながら協調的に動かなければいけないような作業の場合、特に有効である。短周期での繰り返しプロセスを実現するためのさまざまなプラクティスには、チーム改善のためのヒントが必ずある。

  • カードによる作業の見える化
  • 作業の見積もりと実績の記録
  • KPTによる振返り
  • スタンドアップミーティング
  • ペア作業

以前、商品を海外から輸入し国内で販売している会社にアジャイルプロセスを導入したことがあった。ここのチームは5人で仕入担当、外回り営業担当、電話営業担当、発送担当とリーダーで構成されていて全くの縦割りで作業されていた。この状態ではよほど連絡を密に取らないと在庫切れやあふれ、売上の未達などのリスクが高かった。そこで、カードによる作業の見える化、スタンドアップミーティングなどを導入し、各担当がどういう状況なのかがわかるように、相談する機会を多くつくるように、作業の方法を変えていった。また、2週間毎にKPTを実施し、自分たちでどう改善していけばよいかを考えるように仕向け自律的に成長するチームを作ることをめざした。結果、1年半で販売量を倍増させることができた。しかも、全く同じメンバーにアルバイト1名を追加しただけの構成ですべて作業をこなしているのである。
もちろん、その時の時流の影響ももちろんあるが、アジャイルプロセスの導入が良いチームを作り、成績アップに貢献できたことは間違いない。

ソフトウェアやシステム開発だけにアジャイルプロセスを使うのは本当にもったいないと思う。